わが家では、男の子三人兄弟の子どもたちが、料理を手伝ってくれることがあります。 でも「ニンジンは炒め物に使うから、薄切りにして」と言っても、カレーの具か? ってくらい大きなコロコロの固まりに切ってしまいます。 そんなとき、以前の私は、「薄切りって言ったでしょ!」と、すぐにイライラ。 「左手を丸くして、すこしずつずらしながら切るの!」と説明し、何が何でも薄く切らせていました。 すると子どもたちは面白くなくなって、「もうしない!」と、やめてしまいます。 考えてみれば、子どもって上手にできなくて当然なんですよね。大人のように、何十年も見たり聞いたり、経験を積んできたわけではないのですから。 そう気づいてからは、薄切りになっていなくても、私は一切手を出さず「手伝ってくれてありがとう。上手に切ったね」と感謝の言葉を言ってほめるだけにしました。 そうすることで子どもたちは喜び、自信がついて、やる気や次の挑戦につながります。 どうしてもニンジンが大きすぎるときには、子どもにバレない程度に切りなおしたり、ゆでて使えばいいのです。 ニンジンが少々不恰好でも、夕食の席で「子どもたちが切ったのよ」と言えば、夫はそのニンジンたちが格別にいとおしく見えるようで、急に目を細めて、それはそれはおいしそうに食べるんです(私もわざと不ぞろいに切ろうかな……と思うくらい)。 子どもがやることを、「それは失敗!」とわかっているのに「だまって見守る」のはむずかしいことです。 火が通らなくて固いままのニンジンを思えば、手を出さずにいられません。 だからといって「こんな簡単なんだからできるはずなのに」とか「今後のためにも練習させなきゃ」と無理に薄切りをさせてもそれは逆効果。子どもはやる気をなくしてしまいます。 むしろ、ちゃんとした薄切りでなかったからこそ、夫はよろこんで食べてくれたのだし、子どもたちも“食べたらニンジンが固かった”という経験付きで、薄く切らなければならない理由もわかり、「次の挑戦」にもつながりました。 家事も育児も読み聞かせも同じです。 「ちゃんとやる」「ちゃんとできる」ことだけが、良いってわけじゃないみたいですよ! (初出:「星星峡」2003年8月号 幻冬舎) |
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